皆さん、こんにちは。
昨年10月から12月にかけて築23年になる住宅の内外リフォームをしていました。
今回はその工事を具体的に取り上げて、改めて分かった事やポイントをご紹介します。
同じようなリフォームを考えている方の参考にしていただければと思います。
今回は「屋根・外壁」の後編です。
●施工を進めるにあたり、その都度状況をお客様に報告する
●勾配が緩いところは二重・三重に防水雨仕舞対策を施す。( 道路から見上げて見えないところでもあるのでデザイン性よりも機能性を重視する)
●勾配が緩いところ(2寸勾配)は機能性を重視しゆるい勾配でもできるガルバリウムの立平葺き、
曲面で急勾配のところは建物のデザイン性も重視し曲線に馴染みやすい輸入シングルングル葺き(Oakridge Super)
このように「2種類の屋根を一つの屋根で葺く」という 普段はあまりしないことをしましたが、
職人の根気よく念入りに施工してくれたこともあり、うまく仕上がったと思います。
完成後、下から見上げた際にも、ガルバ部分の屋根は軒先が少し見える程度でほとんど分かりません。
こうやって後から見ると 面積は広くないが、 納まりの難しいところがたくさんあり、一筋縄では行かなかったのが分かります。やはり建築で曲線は何かと難しいです。鈑金だからこそ三次元に対し、柔軟に加工して納められました。鈑金工事の得意とする部分が改めてよくわかりました。現場で職人と良く話し合って各納まりを決めて行きました。
シングルもガルバも共、施工するのは鈑金職人です。
「こんな屋根形状の工事はなかなか無いですね~!」
後半になって少し先が見えて来たところで、
職人が額の汗をぬぐいながら笑顔で話しかけてきました。
確かに!このような工事は他に例がないので、各所、経験と話し合いによって安全側を選び、”念には念を押す姿勢”が大事です。
●やはり改めて 目に見えない下地の部分が大事だと思いました。 外壁でも同じですが、 合板の後のルーフィング(外壁で言ったら防水紙)の張り方、入隅や出隅、部材の取り合い部分の納め方に一番気を使う必要があります。下になればなるほど、やり替えがしにくいもの。
目に見える外皮の部分のメンテナンスのみを定期的に行い、そこに気を使うだけで住み続けられるのが 理想です。そのためには最初の新築時にきちんとした仕事をする必要があります。 この工事はそのことを改めて肝に銘じる機会となりました。
施工後、野地板を広範囲に貼り替え・貼り増しすることになり、お客様には予期せぬ負担となってしまいました。
見積時に「野地板が傷んでいる場合」のご説明はさせて頂きましたが、ここまでの規模になるとは私も思いませんでした。
しかし、この工事で行う以外は今後やれませんので、後悔の無いようにお施主様にはご説明し、ご理解頂きました。
天窓が無くなったこともお客様は残念がっていらっしゃいましたが、今回しっかりと下地から直した事で、これからは安心して暮らせる家になったと思います。
何より、この家のデザインは『ドールハウス』のような家が欲しいと、施主様が23年前に理想を形にされた家。
雨漏れその他建材の不具合などお悩みの部分はあるものの、家のデザインコンセプトとしてはご家族皆さん大変お気に入りのお家です。
こんなことが工事中の休憩中の会話にありました。
鈑金職人のおじさんが
「この家ここにあったら勿体ないから、そこの角に目立つように持っていこうか?!」
「だって、こんないいデザインの家、他に無いもん!もっと見てもらわないと・・・」なんて冗談交じりに言ってました。
「こういうデザインだもんで、俺らもやる気になるんだよ!」と・・・・。
なんか、これってとても大事なことのように思えます。
長持ちする家は、「長持ちする建材」だけでは出来ません。
長持ちさせたいと思わせるデザインと
長持ちさせる技術・気配り
これが伴って初めて耐久性の高い(社会に残る)建物として価値が出ると思うのです。
この家を最初に考え、作った人も相当な思い入れと苦労があった事は、この家を触ってみた者には分かります。
同じモノづくりをする立場としても、その歴史が刻まれた建物を大切にしなければという気持ちも沸いて来ます。
これからも施工には頭をひねりながら苦闘せねばなりませんが、
魅力的なデザインの「皆様に好かれる家」と共に仕事をしたいと思います。
今回も貴重な経験をさせて頂いたお客様に感謝です。
長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。