この工法のメリットは前回書いたようなことですが、デメリットと言うか気を付けなければいけない事も書いておきます。
モルタルの原材料は水とセメントと砂を混ぜたものです。
これが硬化するためには一定の時間が必ず必要です。硬化してからでないと次の仕上げに移れません。
従って突貫で作るような家には向かないです。
建築は専門のスペシャリスト(職人)が連携して作るものです。
左官屋さんが入った時にその前の仕事はこのようにしておいてほしいという細かい注文があります。
その前段階の工事を監督がしっかりと見てやっておかないと、せっかく入ってから直す必要があったり手戻りの多い工事になります。
これは、どんな工法でもそうですが、連携が大事ですね。
また、中の大工さんのプラスターボードがおおむね貼れた状態で外の左官工事に入るように私は工程を 調整しています。
中の振動が外へ伝わるのを避けるためです。
モルタル自体には伸縮する性質がありません。乾く段階で収縮により表面に(品質には影響の無い)微細なヘアクラックが生じる事も有ります。
仕上げ段階では、そのクラックが残ることはありませんが、建物は地震や、道路の車の走行や付近工事の影響、また、構造体自体の荷重や乾燥膨張を繰り返し、動きます。
モルタル施工に際しては、事前の通気胴縁を普通の2倍のピッチで入れたり、壁全体にグラスファイバーメッシュを伏せこんで、建物の動きに追従するよう対策はしていますが、
長い間には最初には無かったクラックが壁に生じる可能性もゼロではありません。
そんな時、弾性塗料なら(一定の範囲まで)クラックが表面に生じるのを防ぐことができます。
クラックが生じたままで家を放置するとその隙間からモルタルの劣化が進み易くなり、 さらに悪くなると防水面でも問題が生じるので気を付けなければいけません。
そういう意味で長い目で見て建物メンテナンスコストを 抑えられる弾性塗料をお勧めします。
これらを注意してもらえれば、 仕上がりは人が手で仕上げたならではの趣のある良い仕上げになると思います。
この家はアイボリー調の弾性塗料で仕上げる予定です。
まだまだ時間はかかりますが、これからの仕上がりも楽しみです!