今年から弊社はリフォームの全てでは無いですが、防水機能が重要となるような大きなリフォームに関しては、リフォーム専用に設けられた「リフォームかし担保責任保険」に加入することにしました。
大臣指定保険法人であるJIO(日本住宅保証検査機構)の検査を工事中および完了時に受け、合格することを条件に引渡し後何か問題があった際に各物件ごとに最大請負金額相当の保険金額が下りる様になります。
仮に倒産した場合でも、今まではお客さんは言うところがなく泣き寝入りしてところですが、免責10万円を除く補修費用や、仮住まい費用まで保険金で受取ることが出来ます。
代わりの業者が施工をするに十分な費用が確保される仕組みです。
最もそんなことにならない方がいいに決まってますが、実際にそれで困っている方も私は多く見てきましたので・・。
新築からリフォームをやって見て思いますが、例えば窓を取り替えるとか、古い外壁をはがして張り替える事の方が、新築よりずっと難易度が高いように思います。
なぜかというと、新築時には無い水道やエアコン配管や照明が建物にくっついていて、外壁が張りにくい。張りにくいから隙間などが出来やすい。窓は15年以上経過して新品の時とは違い劣化が進んでいて、新しい建材との接合部が馴染みにくく、気を使う。長期荷重による経年変化で開口部が変形していることもある。新築では直角で当たり前のところが直角でないことなど沢山あります。
解体しないと見えないところ(例えば構造体)が思わぬ劣化に見舞われている時があり、予定工事を見直す必要がある場合もある。
ただし、お客さんが住みながらなので、あまりにも長期に延期する場合は別の精神的苦痛も考えなければならない、など・・。様々に発生する障害を迅速に克服しながらも、適切な判断も強いられる。
そんな難易度の高い工事をたとえ自分の頭では分かってはいても、全てチェックできるでしょうか?
世の中には「きれいになった」ことをリフォームと勘違いして表向きだけ前より見違えた様にしていく同業者も多いように思います。実際、色々なパターンのリフォームを経験して、「きれいになった」ように見せるだけの工事だったら簡単に出来ることもわかりました。
建設業の認可を受けてない業者でも、リフォーム業者です、と言って手が付けられるのがこの500万以下の確認申請も要らないリフォームです。
何も知らなくても「きれいになった」ように誰でも出来てしまうのです。
でもそのような危うい工事の場合は、その時良くても数年すれば何か問題の出る可能性があります。
まさにこの種の規模と金額の工事は落とし穴的な工事だと思います。簡単では無い工事をこんなに簡単に誰でも手が付けられていいのか?と思います。
工事というものをやってて思うのが、この様に時間と天候など不確定な要素に左右される仕事が常にベストな状態でこなせるだろうか?という問題です。
人間なので、絶対に落ち度が無いとは言えません。
「瑕疵」というのはまさに「わざとやろうと思ってやった悪人の故意の工事」ではなく、「工事をする本人も気づかないがやってしまった(ミス)工事」で、引渡し時には気づけなかった部分に関する欠陥を指すのです。
完成後、何か問題が生じると、「良かれと思ってやったのに・・」とか「お客さんがこういうから(無理を承知で)こうやった」「悪気があってやったんではないから・・・」という言葉は我々業者からは良く聞かれる言葉です。
そしてこの言葉を吐けば何となく許されてきたような流れがあります。
でも、それで一番損をしてるのはお客さんです。
お客さんは直さねばなりません。
お金のかかる手直し工事に関わっている時間が業者にはありません。
このような悲劇にならない為にはまず瑕疵を減らすしかありません。そして、万が一、事故があった時には直す費用が担保されていることです。
今のところこの仕組みがお客さんの安心のために最も有効だと思います。
「工事当時者では無い第三者が現場をチェックするということ・・」
瑕疵を減らすのにこの検査は非常に有効な手段だと思い、私は多少プロセスが面倒ですが、出来るだけこの種の工事にはJIOを利用を考えます。
瑕疵対象の事故の際、JIOで保険金が下りる、ということよりも、私が意味を感じるのは、JIOの規定通りに工事をする必要があるということで、現場の職人まで緊張感が生まれることです。
実際、今日検査に来た検査員は女性でしたが、足場をスタスタと駆け回り、かなり綿密に仕上がりを見て行きました。
その姿を見て、私自身が「かくあるべき姿」を見せられた気がしました。
この相乗効果により、現場での「気づき」が多くなり、工事の品質が職人さんレベルまで向上することを期待します。
現場は工業製品と違い、ひとつとして同じ物がありません。
一度起きた問題と同じパターンの問題が起きるとは限らず、現場現場でケースバイケースの対応が必要になります。
ですので、いかに多くの問題にぶつかり、「気づき」「対応」していけるか?が大事に思います。
これからも現場で起きた問題をひとつひとつ拾い上げて、皆さんに公開していこうと思います。
そういう意味でJIOさんをうまく利用し、互いに技術を高めていくことはとても意義にあることに思います。
ここが、今日指摘された窓横のシーリング部分。
少し窓枠から剥離しているように見えます。
あと、リモコン配線の外壁貫通部分の穴。
シーリング屋を呼び、今日のうちに対処しました。
完了検査は合格です。