このたび江南市で完成したおうちの内容に関して、ご紹介していきます。
今回は設計から施工まで色々と格闘した1階のトイレです。
玄関からドアを開けると目の前にリビング階段があります。
その階段下を利用してトイレを設計しました。
素敵なこのトイレ、4尺5寸(1365ミリ)×3尺(910ミリ)の壁芯寸法でプランしました。
プラン・シンメトリーな外観・窓の配置など練り直すなかで、最終的にこの長手寸法だけは大きくすることが出来ませんでした。この長手の寸法1365ミリは壁の厚みを差し引くと1250ミリとなり、これ言ってみたら『トイレの最小寸法』。
狭いことがわかっていたので、便器は長手方向が小さく抑えられるタンクレスタイプ(便器先端まで650ミリ=LIXIL)を選び、少しでも広く感じるようにしました。私の考えですがタンクレスならばこの空間サイズでも使える寸法です。タンクありの場合はタンクレスより長さが120ミリくらい長くなりだいぶ窮屈に感じます。
「トイレの中に小さくてもいいから手洗いが欲しい」と言うご要望があったので、その出も含めると、本来ならばもう少し余裕があると良いと私は思っていました。1階のトイレは毎日使うメインのトイレですので尚更のこと。
また、これに加え「掃除道具などを入れる収納が欲しい」と言う奥様のご要望も出てきて、結構シビアな条件が重なって来ました。
そんな課題を抱えつつお客様と話している中、妙案が出てきました。
それは「壁をもう少し奥にずらせないでしょうか?」と言うふとしたお客様の投げかけから始まりました。
階段下は面積の有効活用に最適ですが、階段の低い奥のほうに行けば平面では広くなるけど天井は順に低くなります。
通常はそこまでシビアな寸法で平面上は突き詰めないです。無理にギリギリで設計して、後になってから広げる事は厳しいので。
(トイレでの動作に支障が無いだろうか?)
考えていても、こればかりは平面図では分からないので、私は即答しかねました。
そこで、現場で仮に段ボールを壁に見立てて実験することにしました。階段はまだ架かっていないので、私の方で大体必要とされる寸法を算出し、無理のない範囲で壁と天井をつくりました。
便器の大きさも原寸で書きいれ、実際に斜めの階段下地の下に立って狭くないか、実感してみました。私は背が180センチあるので、私が大丈夫なら、大抵の方は大丈夫です(笑)
で・・・・検証すると奥に128ミリずらしても、天井の高さ的には問題が無さそうだ、と感じました。
基礎があるので、トイレの排水が当たらないか気になりましたが、基礎の面限界まで寄せて、配管も同様128ミリ奥にずらせます。
赤い線が設計時、青い線が変更後の壁ラインです。
さらに、「掃除道具収納は階段下の余った空間に箱を埋め込む形にはできないでしょうか?」と言うアイディアが奥様から出てきました。
それも一緒に作ってみようと、作ったのがこちら。右奥の縦長の扉が開いているところがそれです。収納部は奥になり壁面に扉が付くので、閉めている時は壁と同化し、トイレ空間を全く占領しません。
NICE IDEA!
私もアイディアを持ってましたが、もし施工可能ならこちらの方が全然スマートでいいです。
上棟式の打ち合わせの前にこの段ボール仮設壁をこしらえておいて、お客様に確認を取りました。
これを見た職人さんには、”のっぽさん”ですか?と言われてしまいました。(ちょっと例えが古いですね(*^^*))
私もここまで作り込むつもりは無かったのですがついついエスカレートしてしまい(笑)、ニッチとそこに開閉できる段ボール扉も作ってしまいました。
お客様が来るのを待って、一通り説明をした後に、
「こんなふうに扉を可愛いデザインで作って開閉できるようにしたらどうでしょう?」とお客様に聞いたら「いや、それはいいです」とのこと。
さすがにやり過ぎました(笑)。
このようにしてトイレ収納問題は解決しましたが、実際このように作るのは初めてでした。便器が設置された後の残りの寸法を出すと収納の幅は限られています。
便器が設置されるよりずっと前にこの造作は終えなければならないので、逆算して『出来る限り大きく、しかし、絶対に便器に当たらない』寸法で詳細寸法を決めました。(実寸で150ミリ程度の有効巾を作ることが出来ました)
このあとは大工さんとの連携プレーが無いと出来ません。この後も大工さんからも施工上のアイディアをもらい、大変助かりました!
次回は完成した1階トイレをご紹介します。お楽しみに!・・・