私は輸入住宅に30年ほど前に出会い、その魅力に惹かれ携わるようになり、いろいろなデザインの新築工事の現場監督を行っていました。
ちょうどその頃、政府が緊急経済対策として輸入住宅を促進していた時期で、さらに円高も重なり、輸入住宅が日本に多くの人に知られシェアを伸ばしていく、そんな最中でした。
当時、初めて見る建材や、設計が持ち込む格好いいけど難しいデザインの家など、新米監督としては現場で色々と苦労したこともありました。
それ以降、輸入住宅会社の設計工事担当として社員を務める事を経て、20年位前に独立し、現在があります。
現在は築20〜30年以上になる家のメンテナンスやリフォームから新築住宅まで両方手がけております。
長く携わってきた私だから今こそ言える、
良くないところと悪いところ。
良いところは生かして、これからの家づくりにも役立てたい。
やはり住環境としては、先を行く欧米諸国。
反省や改善はありつつ、やはり学ぶべきことやヒントになることがこれからも多いと思います。
(あくまで当時悪かったと思われるところで、現在は解消しています)
1つは、当時輸入建材の施工に関してのマニュアルが十分に整っていなかった点があります。
会社で独自のしっかりとしたマニュアルを作っているところも勿論ありましたが、会社の新事業部として始めたり、新しく会社が出来て輸入住宅を始めたり、様々な会社がありました。
中には設計デザインのみが先行してしまい、現場での施工が不十分だったところもあるかと思います。
輸入建材は、まだその当時、職人さんにとってもちょっと珍しいものと言うイメージがありました。
会社にマニュアルが揃っていても、それを施工する職人さんにまで浸透させることができたかというと少し微妙です。
でも、これ実は、輸入品だから、と言うことでなく、職人さんの質にもよるかもしれません。
輸入日本製に限らず、ちゃんとやる人はちゃんとやるからです。
また、監督が職人さんにマニュアルごと投げて、フォローをしない場合も、失敗が起きやすいです。
監督は職人さんにしっかりついて、互いに助け合い確認しあいながら、仕事がしなければいけないと思っています。
2つ目は日本の風土に合わない作りをしている部品もある。
今は改良され、或いは淘汰されて、そのような商品を売っているところは少なくなりましたが、当時、様々な輸入品が円高で安く買えたことも影響して、日本に紹介され採用されました。
しかし、その後時が経ってから不具合を生じるものも出てきました。
輸入のメンテナンスで、現場に行くと、実際に例えば雨で湿った状態で窓が傷んでいたりと言うのを見かけ、その時に原因が分かります。
1番多いのがよく日本にも普及した某窓でガラスと枠との間に水が入り込んで、それを抜けないために木が腐ってくると言う現象。
原因が早めにわかっていれば、ガラスと枠の間にコーキングを打つなどの対策もあります。
そうすることでそれ以上の傷みの進行を防ぐことになります。
このメーカーに限らず、日本に輸入された幾つかの窓で不具合が生じて取り替えたり、補修を加えたりしたものがあります。
これが実は家を作る側として1番大事なことかもしれません。
会社が、作った後もしっかりと存在し続けることです。そしてメンテナンスや相談に乗れる体制をきちんと維持できること。
会社が適正な価格で受注した上で、会社にもきっちりと利益が残るような形をすること。また、そのためには設計、現場を効率的に動かしてムリムラムダを省いてコストのスリム化を図らねばなりません。
良いものを適正価格で手に入れていただけるように、私たちも日々勉強し、新しくて便利なものは取り入れて、努力しなければいけません。
私がいた会社は今思い返せば、デザインも考え方も素晴らしい家づくりをしていたと思うのですが、結果的には、会社が生き残っていくために必要な経費や利益を確保することができずに、倒産してしまいました。
受注はしていながら、内情は表向きとは反対の火の車状態だったようです。
建築業界は、1人ではできません。元請けから下請けの業者さんへお金が行き届くようになって、初めて仕事が回っていきます。
支払いができなくなると、もちろん下請けの業者様は工事をやりにくくなり、お金が入っていないから、と言う理由で工事に入って来れなくなることもあります。そうなると、工事もどんどん遅れて行き、お客様からお金をいただくタイミングも遅くなる。
そうなると、飲食店で言うように回転率が悪くなって、ますます形を圧迫するわけです。
私も当時監督として不十分でした。良いものを作っている、そしてお客様にも満足いただいていると言う自負はありましたが、肝心の会社の事を横に置いていたように思います。
この3つがバランスが取れていないと、やはりいろいろなところに支障が生じる。
私も、創業から20年が経ちますがが、過去の反省からこの事は常に頭に置いています。
家を作る際に、お客様にその時だけ満足してもらっても、後から逆に迷惑がかかるようなことがあってはいけないので、甘さと辛さといいますか、時には言いにくいこともはっきりと言わせていただくこともあります。
例えば「これを使いたい」と言われても、それは数年先にはこんなリスクがありますとか、この収まりだとデザインはいいけど雨漏りしやすいですとか。
そういった情報をお話を隠さずしないなら納得していただきたいと思ってます。
さて、さて、悪いことを3つ、しかも長く書き並べてしまいましたが、次回は良いことを話しますよ。
ではまた次のブログで・・・・