名古屋市内の便利な立地にあってこの自然環境もさることながら、私が感動しているのはこの家の元々のデザインやスペックです。
この家が作られたのは1984年。
「38年前によくぞこのおうちを作った」と!
日本にオープン化されてちょうど10年経った頃にこの家が設計施工されたことになります。
ツーバイフォー工法もまだ今ほどメジャーではない頃、北欧の木製横軸回転窓や天窓を実際に輸入し、海外にある本物の北欧デザインで建てる。
まさに設計者の探求心や熱意によってこの家が作られた気がします。
それに合わせ当時のお施主様の思いやご理解もあってのこの家だと察します。
今現在、コロナの影響で建材コストや納期が不安定だったりしますが、建材を入手するにも多くのルートがなく苦労したのではないでしょうか。
北欧のストーブも設置され、照明にはルイスポールセンの名作ペンダントが使われています。
さらに、1階の床には蓄熱式床暖房を採用しています。私も何件かこの施工で新築を作りましたが、まさか38年も前にこの施工を実際に行っている家に遭遇するとは思いませんでした。
しかもお客様が専門業者に診てもらうと配管はそのまま使えるとのこと。
今回のリノベでもこの配管を利用してボイラーを新設。同じ蓄熱式床暖房を継続して使用します。
施工面で言うと
住むには素晴らしい環境ですが、工事をするには細い道があったり斜面も多かったりなかなか大変な場所です。当時はアクセスする道が舗装もされていなかったとのこと。
・・・・えてして素晴らしい建物にはそういう立地が多いですが。
苦労した分、結果いい建物になる。これは間違いないです。
もちろんそれを建物から感じてくれる目利きのお客様がいてこその話ですが。
この時代にこの建材とデザインと仕様をこの立地条件で作り上げた設計や建築業者に私は敬意を表します。
この現場に来るたびに家を見上げてますます感服します。
私はリノベーションですが
「これを一から作った人はさぞかし大変だったでしょう」
先日もそんな風にお客様とだんだんと出来上がってくる現場を見ながら立ち話をしました。
お客様自身もそういったこの家の持つ価値がわかっていて、この家に心が動いたに違いありません。
”古くて良いものを残す”と言う価値に共感しながら、私も実際のお仕事として建築で協力出来るのが嬉しいです!
是非今回の工事を通じて当時の設計者が残したかったこと、当時の作り手の思いを今に引き継いで、わたくしたちの力で生まれ変わった新しい輸入住宅をお客様にお渡しできたらと思います。